『ハリー、見知らぬ友人』や『ボン・ヴォヤージュ』の脚本家として知られ、自らも2003年に『サイレント・ホスピタル』(原題は“Qui a tué Bambi?”)で監督デビューしたジル・マルシャンが、マルセイユで新作”L’Autre monde(直訳:別の世界)”の撮影に入っています。
このタイトルからも想像できるように、この作品は監督が得意とするスリラー。主人公のギャスパーは幸せな生活を送る思春期の青年。夏のバカンスの間、両親のいないアパルトマンで友だちと好き勝手な毎日を送り、マリオンというガールフレンドもできたばかり。しかしある日、ギャスパーはある別の世界を知ってしまう。「ブラック・ホール」と呼ばれるこの世界では、オードレイという女性とその兄ヴァンサンがネットゲームをしており、オードレイは自分と一緒に死んでくれる人を探しているのだった…という物語です。 この作品のキャストはなかなかグラマラス。ギャスパー役にはクリストフ・オノレ監督のお気に入りの若手俳優グレゴワール・ ルプランス=ランゲ。そして彼を「別の世界」に誘い込むのは、お天気お姉さんから女優に転向したフランスで大人気のルイーズ・ブルゴワンとメルヴィル・プポー。この兄妹だったら、確かに抵抗できないかも…(写真はアンヌ・フォンテーヌ監督の”La Fille de Monaco”に出演した時のルイーズ・ブルゴワン。) 撮影は7月下旬までマルセイユ近郊で行われ、2010年春の公開を目指しています。ジル・マルシャン監督は『サイレント・ホスピタル』(原題は“Qui a tué Bambi?”)がカンヌ映画祭で特別上映されているので、このスケジュールを聞くと、またカンヌを狙っているのかな?と考えてしまいますが…乞うご期待! これは『サイレント・ホスピタル(“Qui a tué Bambi?”)』の日本版DVDとフランス版ポスター。宣伝の方向性が全然違って面白いですね。 #
by berceau-du-cinema
| 2009-06-17 18:23
| CINEMA/PROJET
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2000年から構想があがっていたリュック・ベッソンによる映画都市Cité du cinémaの建設がとうとう始動します。
6月11日に行われた記者会見で明らかにされた概要では、火力発電所の跡地であった62,000m2の敷地内に、映画製作のために必要な過程ー脚本執筆、企画準備、大道具製作、撮影、ポストプロダクション−の全てを行うことができる施設(11.000 m2と9つのスタジオセット10.000 m2)、年間850万ユーロの家賃収入になる賃貸の事務所スペース(23,000m2の内、19.000m2をヨーロッパ・コープが借用。)、そして映画スタッフの養成校として名高いルイ・リュミエール国立高等専門学校(8.000 m2)も中に入ることが大きな話題に。また近郊のパリ第8、第13大学の映画科の生徒にも施設の使用ができるようになる模様です。 リュック・ベッソン氏はこの記者会見で、この映画スタジオの建設の出発点として「必要なスタジオ施設がなかったために、9000万ユーロの製作費をかけた『フィフス・エレメント』をフランスで作ることができませんでした。(…)デビュー当時から私を支えてきてくれた映画技術産業にとって、とても悲しいことだと思いました。』と語っています。 建設地はパリ市とシャルル・ドゴール空港を結ぶ地点になることから、フランスだけではなくヨーロッパやアメリカの映画製作の受け入れにも便利な立地条件。工業施設の改修を専門とする建築事務所Reichen & Robertが受け持つ建設費は1億6000万ユーロ(200億円)!2012年初頭のオープンを目指し、年末に工事がスタートします。 #
by berceau-du-cinema
| 2009-06-16 18:35
| CINEMA/BUSINESS
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今年のカンヌ映画祭で新作”La Prophète(直訳:預言者)”でグランプリを受賞したジャック・オディアール監督。男性を主人公にした作品を作り続けてきている同監督が、ドメスティック・バイオレンス防止対策のためのTVスポットを監督しました。
”La Voix”というタイトルのついたこのスポットは言葉の暴力がテーマ。わずか30秒ながら、ある女性を盗み見する主観ショットを用い、そしてボイスオーバーで聞こえてくる男の声は緊迫感に溢れています。ヴェレリー・レタール連帯担当大臣は今回のキャンペーンについて、「私たちは最後のタブーに立ち向かおうとしました。カップル間での言葉による心理的な暴力は最もありふれたものですが、他のこと全ての原因となるのです。」と語っています。 このボイスオーバーの台詞を翻訳すると… "Cette femme, c'est un vrai boudin. Rien ne lui va. Elle fait tout pour se faire draguer. C'est une vraie trainée. Cette femme a des copines, mais elles sont aussi connes qu'elle. Cette femme, c'est la mienne" 「この女は本当にぶすだ。何も似合わない。 こいつはナンパされるためなら何でもする。本物の売春婦だ。 この女には友だちがいるが、こいつと同じように間抜けだ。 この女、こいつは俺の物だ。』 そして最後に女性の声で"Ne laissez aucune violence s'installer, réagissez. (「いかなる暴力も根付かせないで、抵抗して下さい。」)"と入ります。 このスポットは6月11日から7月1日まで、フランスの地上波6チャンネルとケーブルチャンネルTNTにて放送されています。以下のサイトで動画をご覧下さい。 http://www.stop-violences-femmes.gouv.fr/film20090610sdferestreint.htm #
by berceau-du-cinema
| 2009-06-15 18:43
| CINEMA/ETC.
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パリ11区にあるアートセンターのメゾン・ルージュで"Vraoum ! trésors de la bande dessinée et art contemporain(直訳:ヴラウム!漫画と名宝と現代アート)"展が9月27日まで開催されています。
漫画(コミック/バンド・デシネ)はフランスでは第九芸術と呼ばれ、現代では私たちが最も触れやすいアートとなっているのは否めない事実。今回の展覧会では、タンタンからミッキー、スーパーマンや鉄腕アトム、世界中で愛されている漫画の古典から宮崎駿、モビウス、エンキ・ビラルといった現代を代表する作家らの原画から、アンデフィ・ウォーホル、バスキアなど、漫画から影響を受けた、もしくは漫画を題材にした現代アートのアーティストたちの作品が集められています。100人以上のアーティストの作品が集められたその数は、原画が200点以上、現代アートの作品が80点以上となかなかのボリューム。日本からは手塚治虫、石ノ森章太郎、上村一夫といった巨匠の原画、そして現代アートからは村上隆、森万里子らの作品が展示されています。 子供と一緒に楽しめる…と言いたいところですが、一番奥、地下のスペースに展示されている作品はかなりハードなので、ここだけはちょっと気をつけて下さい! http://www.lamaisonrouge.org/fr/index.php #
by berceau-du-cinema
| 2009-06-13 20:02
| ART
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フランス、アメリカ、そして祖国のイタリアと世界中を飛び回っているモニカ・ベルッチ。その彼女がフィリップ・ガレル監督の新作”J’ai gardé les anges(仮題:天使)”で、若きガレル監督の分身的役割を担う息子のルイ・ガレルと共演するというニュースが流れてきました。
既にギャスパー・ノエや現在公開中のマリナ・デ・ヴァンら、独特の世界観を持つ監督の作品に出演しているモニカですが、ここまで作家性の強い監督作品に出るのは初めて?ガレル監督もあまり有名女優を使うことがないのですが、『夜風の匂い』のカトリーヌ・ドヌーブの例もありますし、実生活でもパートナーであったドイツ人のニコ、『もうギターは聞こえない』に出演したオランダ人のヨハンナ・テア・ステーゲなど、外国人の話す独特のアクセントのついたフランス語が好きなのかも…と勝手に憶測を巡らせてしまいます。そしてルイ・ガレルとモニカ・ベルッチの年の差はどのように物語として料理されるんでしょうか? その他にはTVを中心に活躍する現在32歳のフランス人俳優Grégory Fitoussiもキャスティングに加わっていること、撮影は早くても2010年の冬になること、製作は前作”La Frontiere De l'Aube”と同じくエドワール・ヴァイル、ということしか明らかにされていません。最近のガレル作品と同様に、脚本はアルレット・ラングマンと マルク・ショロデンコ、撮影はウィリアム・ルプシャンスキーによるモノクローム映像になるのでしょうか。 モニカはヴェネチア映画祭のオープニング上映に決定したジョゼッペ・トルナトーレ監督の”Baaria”にも小さい役ですが出演しています。私は個人的にはイタリア映画の中のモニカが女優として一番好きです。 ”Baaria”の撮影風景の写真を。監督と主演のMargaret Madè、彼女は新人のようですね。 #
by berceau-du-cinema
| 2009-06-12 19:27
| CINEMA/PROJET
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