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『美しい人』と『クレーヴの奥方』

東京では今日からフランス映画祭がスタートしましたが、上映された作品の中から『美しい人』について…

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実はクリストフ・オノレ監督の作品はちょっと苦手でした。しかし友人を介してこの作品の脚本を読む機会があり、それがなかなか良かったので気になっていました。ラ・ファイエット夫人原作の『クレーヴの奥方』の現代版という点も含めて…そして出来上がった作品はとても素晴らしいもので、私もとても気に入りました。

ジャン・コクトー脚色、ジャン・ドラノワ監督による最もクラッシックな形での映画化、オノレ監督同様に物語を現代に置き換えたマノエル・デ・オリヴェイラ監督とアンジェイ・ズラウスキー監督。そしてロベール・ブレッソン監督も映画化の準備をし脚本を執筆したにも関わらず、プロデューサーが製作費を懸念して頓挫したことがあるそうです。これだけの映画人を魅了して止まない小説の原作を読んでみることに。

まずこの作品が小説にかなり忠実に脚色されたことにとても驚かされました。そして16世紀の宮廷社会を現代の高校に置き換えるというアイデアにも、転校生というシチュエーションや教師と生徒という関係性などを踏まえた上で、まだ無垢さを残した思春期の若者たちが閉塞した環境の中で生まれる恋愛感情のもつれや残酷さに苦しむ姿がとても生きてきます。

さてこの『クレーヴの奥方』に関する逸話(?)を…サルコジ大統領が「大統領になるために『クレーヴの奥方』を読む必要はない」という発言をし、2月16日にパリで抗議集会がありました。そこには黄色い花を持った、『美しい人』の主役、ルイ・ガレルの姿も。でも彼は現サルコジ夫人のカルラ・ブルーニの姉、ヴァレリー・ブルーニ=テデスキのパートナーなんです…(写真ⓒReuters)

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もう一人の主役、レア・セイドゥは、意せずして人を惹き付けてしまうようなとても強烈な魅力を放っています。フランスで公開された時は「アンナ・カリーナに似ている」と言われていました。(確かにポスターは『修道女』をちょっと彷彿?パリではルイ・ガレル版も見かけたのですが…)ちなみに彼女は映画会社パテの社長を祖父に、同じく映画会社ゴーモン社長を大叔父にと、フランス映画界を代表する二大会社のファミリーの一員ですが、人道活動家の母親にしっかり育てられたそうです。そして父親(両親は離婚)の現在のパートナーはサルコジ監督とカルラ・ブルーニの結婚式で新婦の証人…。世界って狭い?

『美しい人』 フランス公式サイト:http://www.labellepersonne-lefilm.com/
by berceau-du-cinema | 2009-03-12 22:55 | CINEMA/LIVRE | Comments(0)
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