現在フランスで大騒ぎになっている法案HADOPI (Haute autorité pour la diffusion des œuvres et la protection des droits sur Internet 直訳:インターネット上の作品の配信と著作権の保護のために最高機関)。この法案を巡って映画界も二手に分かれています。
インターネットのアクセスポイントの制限、プロバイダーによるインターネットサービス利用者の保護、不正ダウンロードの取り締まりなどが盛り込まれているこの法案は、2008年10月30日に上院を通過。3月11日から下院で審議が始まりましたが、3月26日に欧州議会がこの法案に相反する内容を盛り込んだインターネット法案を可決したために緊迫。法案を支持するフランスの音楽著作権協会SACEMが3月30日に集会を開き、フランソワーズ・アルディ、トマ・デュトロン、アルチュール・アッシュ、ベルトラン・ブルガラら1万人のアーティストたちが団結を表明しました。そして3月31日に劇作家・作曲家協会SACDも声明を発表、ジャン・ベッケル、ジャン=ジャック・ベネックス、ヴェラ・ベルモン、ジェラール・ジュニョ、パトリス・ルコント、クロード・ミレール、ジャン=ポール・ラプノー、コリーヌ・セロー、パスカル・トマ、ダニエル・トンプソン、フィリップ・リオレ、セドリック・クラピッシュ、ギョーム・カネ、ベルトラン・タヴェルニエ、コスタ・ガブラスら40人近い監督が名前を連ねました。 その後、この法案は4月2日に下院で可決されましたが、翌週にはシャンタル・アケルマンやジャン=ピエール・リモザン、クリストフ・オノレ、カトリーヌ・ドヌーブ、ルイ・ガレル、パオロ・ブランコらの監督、俳優、プロデューサー13人が4月7日付けのリベラシオン誌に法案に反対する声明文を寄せたのです。 この法案で最も争点となっているのは、不正ダウンロードの取り締まりです。もし不正ダウンロードをした場合、1回目はメイル、2回目はメイルもしくは書留郵便で警告され、その後、処罰として2ヶ月から1年間インターネットの使用ができなくなる、という点です。 リベラシオン誌に掲載された声明文には「推定有罪に基づいた」「自由を侵害するデマゴギーな」法律であり、「技術的に適用するのが難しく」、逆に「デジタルの革新」を考慮した「全ての人たちにメリットがあるもっと公平でバランスのとれた」法律にすべきだ、と提案しています。 4月8日には両院同数代表合同会議で発効前検証が行われたのですが、そこでなんとプロバオダーの利益を守るためにインターネットのサービス停止中も加入料を払い続ける、と内容を改訂するように提言されました。つまり享受していないサービスに対してもお金を払い続けなくてはならなくなった訳で、これにも大きな反響がすぐに巻き起こりました。そしてその翌日、4月9日の国会で21対16で否決、4月28日に2院で再採決されることになりました…。 * 今日見た映画 <回顧特集>セシル・B・デミル@シネマテーク・フランセーズ “Till I Come Back to You”(セシル・B・デミル/アメリカ/1918/95分)★ <回顧特集>ジャック・タチ@シネマテーク・フランセーズ THE TATI’S CONCERT★★ ミュージシャン、フレッド・パレムと彼のオーケストラ、ル・サクレ・ドゥ・タンパンのメンバーによるソノラマ・コンサート。会場では曲に併せて抜粋映像や場面写真が上映されました。フレッド・パレムのことは全く知らなかったのですが、セバスチャン・テリエ、シャルロット・ゲンズブール、ヴァネッサ・パラディ、オリヴィエ・ルイズ、ケレン・アン、トマ・フェルセン、ダニエル・ダルク、ジェーン・バーキン、そしてジャンヌ・モローと蒼々たる人たちとコラボレーションしているそうです。今回のコンサートはギター、ドラム、キーボード、トロンボーン、サックスの5人編成。少しずつ音を外してみたりする愛嬌も取り込みながらタチの映画音楽の持つ世界観を守ることを忘れていませんでした。またゲスト出演したClaire Diterziは昔の女性歌手のような歌唱方法でノスタルジックに歌い上げ、そしてマチュー・シェディッドはなんとプログレ!しかしこれがタチの持つ近代性にとてもマッチしていました(ここで選ばれた映像は『ぼくの伯父さんの休暇』の花火シーンと『プレイタイム』のレストランでのダンスシーン!)。ちょっと残念だったのが、曲の長さと映像の長さが合っていなかったことかな…
by berceau-du-cinema
| 2009-04-10 22:21
| CINEMA/BUSINESS
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