映画監督のクロード・ミレールが4月4日水曜日の夜、ガンとの長い闘病生活の後、70才で亡くなりました。
1942年パリ生まれのクロード・ミレール監督は1962年に国立映画学校IDHECに入学。ローベル・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』やジャック・ドゥミ監督の『ロシュホールの恋人たち』、ジャン=リュック・ゴダール監督の『ウィークエンド』の助監督をし、1968年から75年まで、フランソワ・トリュフォー監督の作品8本の製作主任を務めました。 1976年の『いちばんうまい歩き方』で監督としての長編デビュー。次作の"Dites-lui que je l'aime"の興行的な失敗で、しばらくCM業界で働くことを余儀なくされましたが、1980年の『レイプ殺人事件』が成功し、その後、『死の逃避行』(1983年)、『なまいきシャルロット』(1985年)、トリュフォーの遺稿を映画化した『小さな泥棒』(1988年)などを発表しました。 その後の『伴奏者』(1992年)『オディールの夏』(1994年)『リリィ』(2003年)、そして『秘密』(2007年)など、女優の魅力を引き出すことが有名でしたが、処女作の『いちばんうまい歩き方』、カンヌ映画祭で審査委員賞を受賞した『ニコラ』(1998年)、そして生みの親を探す少年の姿を描いた"Je suis heureux que ma mère soit vivante"などの秀作も忘れることはできません。 昨年夏には病を押しながら、オドレイ・トウツ主演の"Thérèse D."を撮影。フランソワ・モーリアック原作で、1920年代を舞台に不幸な結婚をしたブルジョワ階級の女性の葛藤を描いた物語。フランスでは11月21日公開予定です。 また監督業の傍ら、ヨーロッパのアート系映画館を援助するEuropa Cinemas、フランス映画監督協会、国立映画学校フェミスなどの会長を務めるなど、映画界のために多くの尽力を惜しみませんでした、 「悲しみの日、クロード・ミレールが亡くなった」とツイートしたカンヌ映画祭を皮切りに、フランスの映画関係者や政治家も追悼のコメントを発表しました。 ベルナデット・ラフォン(女優) 「クロード・ミレールには素晴らしい昔の想い出があります。(…)とても陽気で、誰にも好意的で、太陽のようでした。」 サンドリーヌ・キベルラン(女優) 「女優たちをとても愛しており(…)とても印象深い出会いでした。」 ジル・ルルーシュ("Thérèse D." 主演俳優) 「とても悲しいですが、クロードの強烈な想い出を持っています。"Thérèse D." (の撮影)では、特に彼の情熱と覇気を覚えています。撮影中も病気でしたが、舵を手放そうとはしませんでした。病と闘う彼の姿はとても印象的でした。(…)彼がどんな人物だったかを表しています。そして彼の作品も同様でした。とても現代的で感受性の強い(…)重要な作品ばかりで、誠実で、妥協を許さず、映画への深いの愛といったクロード自身の長所を持っています。」 ミシェル・ブラン(俳優) 「クロードは私のキャリア(『いちばんうまい歩き方』)で最初の本当に美しい役を与えてくれました。決して出番の長い役ではなかったのですが、とても多くの事を表現できる力強い役で、私を怖がらせ、今でも非常に心に残っている、とても強い想い出となっています。」 ニコラ・サルコジ大統領 「本物のヒューマニストであるクロード・ミレール監督は、人間の魂の紆余曲折を入念に、憂慮しながら、しかし優しく探求し、観客と批評家(からの評価)を両立させる事に成功していた」 フランソワ・フィヨン首相 「偉大なアーティストで(…)第七芸術の仲間」 フレデリック・ミッテラン文化相 「野心的で要求が高く、複雑さを持つ人間を描く芸術において長けていた」 また監督の遺族からは「素晴らしいエネルギーを持って、彼は最後の作品となる"Thérèse D."の監督することに最後の力を捧げました。」というメッセージが届けられています。心からのご冥福をお祈り申し上げます。
by berceau-du-cinema
| 2012-04-05 09:26
| CINEMA/CELEBRITE
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