5月15日から開催されていた第66回カンヌ映画祭の閉幕式が行なわれました。
受賞結果: パルム・ドール "LA VIE D’ADELE(直訳:アデルの人生)" アブデラティフ・ケシシュ監督 グランプリ: "INSIDE LLEWYN DAVIS" ジョエル&イーサン・コーエン監督 監督賞: "HELI" アマト・エスカランテ監督 審査委員賞: 『そして父になる』是枝裕和監督 脚本賞 "TIAN ZHU DING(A TOUCH OF SIN))" ジャ・ジャンクー監督 女優賞 ベレニス・ベジョ ("LE PASSE"(直訳:過去)"アスガー・ファルハディ監督) 男優賞 ブルース・ダーン ("NEBRASKA" アレクサンダー・ペイン監督) 有名監督が名前を連ねましたが、蓋を開けてみると、「よく出来てはいるが、その監督の傑作には届かない小粒な作品」が多いと言われたコンペで、突出した素晴らしさで下馬評が最も高かったのが、アブデラティフ・ケシシュ監督の"LA VIE D’ADELE" (直訳:アデルの人生)でした。性に目覚めたばかりの少女が、年上の娘の抗いがたい魅力に惹かれて恋に落ち、自分自身を見いだしながら成長。そして嫉妬が原因で辛い別れを体験した後も忘れられない彼女を断ち切る決心をし、新しい道を歩んで行くまでを追っています。レズビアンの物語というのではなく、普遍的と言える愛の物語を、新人女優のアデル・エグザルコプロースが主人公アデルを文字通り「生き」、そして相手役のレア・セイドゥが素晴らしい演技力を持って体現。この2人の間で起こる化学反応に、心が震えるのを抑えられないような作品でした。異例の事ですが、審査委員団は作品と女優の2人にパルムドールを捧げています。 その他の受賞作品も、ウェル・メイドな作品、冷徹な作品、グッド・フィーリングな作品とそれぞれスタイルが違う混じり、映画の多様性がきちんと意識された受賞結果という印象がします。 ***** 今年はコンペティション全作品を見る事ができたので、自分なりにも選んでみました。やはり"LA VIE D’ADELE"がすごすきて、他の賞は難航(笑)。 パルム・ドール "LA VIE D’ADELE(直訳:アデルの人生)" アブデラティフ・ケシシュ監督 グランプリ: "TIAN ZHU DING(A TOUCH OF SIN))" ジャ・ジャンクー監督 監督の引き出しの多さ、巧みさを堪能できました。 監督賞: "LA GRANDE BELLEZZA(THE GREAT BEAUTY)"パオロ・ソレンティーノ監督 個人的に入り込めた作品ではないのですが、その構成力、映像と音の編集は目を見張るものが。 審査委員賞: "NEBRASKA" アレクサンダー・ペイン監督 今年のハート・ウォーミング賞。誰もが心に持っている原風景に、愛すべき人達。最後、ほろっとしました。 脚本賞 "LE PASSE" (直訳:過去)アスガー・ファルハディ監督 『別離』と同じ構造と言われれば、それまでですが、それでもやはりこれだけの物語を作り出す才能は素晴らしいと思い。 女優賞 エマニュエル・セニエ ("LA VÉNUS À LA FOURRURE(直訳:毛皮を着たヴィーナス)" ロマン・ポランスキー監督) "LA VIE D’ADELE"の2人に与えたいところですが、パルム・ドールと重なる受賞は禁止されているので、断念。女優が熱演するタイプの作品が多かった中、軽やかに演技の幅をみせつけたエマニュエル・セニエは圧巻でした。そして"NEBRASKA" のお母さん役、ジューン・スキッブも最高!ダブル受賞でも良かったかも。 男優賞 マイケル・ダグラス ("BEHIND THE CANDELABRA" スティーヴン・ソダーバーグ監督) 本当はマット・デーモンとロブ・ロウの3人にあげたいところ!もちろんブルース・ダーンも納得。そして"LE PASSE" のタハール・ラヒム、最初はあまり何とも思わないのですが、ラストに近づき、物語が重層化されていく毎に、彼の冒頭の演技にも意味が感じられるという構造に舌を巻きました。
by berceau-du-cinema
| 2013-05-26 23:29
| CINEMA/FESTIVAL
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Comments(2)
はじめまして!突然の乱入、お許しください。
フランス映画大好き、でも日本のド田舎に住んでるため、ほとんど観られず情報も見聞きできない者です(涙)。なので、こちらは私にとってはパラダイスのようなサイトです! カンヌ映画祭のレポも、メルシイボクウです!パルムドール受賞作、日本で公開されるでしょうか?タハール・ラヒムくんのLe Passeも早く観たい!でも実は、マット・デーモのbeyond the Candelabraがいちばん気になります(笑)。 いきなり長々とスミマセン。これからも、素敵な情報楽しみにしています!
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berceau-du-cinema at 2013-05-28 20:02
確かに最近は良質なフランス映画の公開が少ないですね…"LA VIE D'ADELE"は映画祭が終了した時点で日本の買い手はいませんでした。長尺がネックになっているようですが、それを感じさせない作り。勇気ある配給会社さんが出てきてくれることを祈るばかり。"LE PASSE"は現在、数社と交渉中のようです。そして"BEHIND THE CANDELABRA" は自分も早く見たくてたまらなかった作品。クリシェを楽しむ、期待通りの作品でした!
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