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第66回ロカルノ映画祭:フランス映画

今年から新しい芸術ディレクターが就任したロカルノ映画祭のフランス映画のラインアップです。しかし数年前から同映画祭のプログラミングに関わってきており、前任のオリヴィエ・ペールが更に押し進めた先鋭的な方向性を踏襲するセレクションとなっています。日本からは黒沢清監督の『』と青山真治監督の『共喰い』が公式コンペに入っています。

"Gare du nord"(2013年/フランス&カナダ合作/119分)
監督:クレール・シモン
出演:ニコル・ガルシア、レダ・カテブ、フランソワ・ダミアン
シノプシス:多くの人が行き交うパリ北駅。イスマエルはこの駅を利用する人達に関する博士論文を執筆するために、利用者にアンケートを取っていた。そんな時知り合ったマチルドは、命にかかわる病を抱えていた。時間の不規則な不動産の仕事に心身とも疲れ果てているジョアン、家出した娘を探すサシャ、駅にたむろする若者たち、不法入国者、そこで働く人達…様々な社会問題も浮き彫りになっていく。
*短編と同時に様々なドキュメンタリーも発表してきた女性監督のクレール・シモンは、前作"Les Bureaux de Dieu"(2008年)でも女性の家族計画相談所を舞台に、ドキュメンタリーとフィクションを融合させた作品を発表しています。今作と同時に撮影された"Géographie humaine"が、Fuori concorso部門でも上映。フランス公開は9月4日。
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"Tonnerre"(2013年/フランス/106分)
監督:ギョーム・ブラック
出演:ヴァンサン・マケーニュ、ソレーヌ・リゴ、ベルナール・メネス
シノプシス:感傷的な33才のロックミュージシャン、マキシムは年老いた気まぐれな父親が隠居生活を送る小さな街を訪れる。そこで優柔不断な21才の娘メロデフィに出会った彼は、たちまち彼女に夢中になり、音楽を作ることを疎かになってしまう。やがて病的なまでに激しい嫉妬に駆られるようになり…
*日本でも間もなく短編『遭難者』と中編『女っ気なし』が公開されるギョーム・ブラック監督の初長編監督。ラッシュ映像は何と70時間あり、編集に5時間を費やしたそうです。最初に出来上がったバージョンは4時間!かなりのカットが余儀なくされて、少し残念…フランス公開は2014年1月29日。
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"Une autre vie"(2013年/フランス/95分)
監督:エマニュエル・ムレ
出演:ジョイ・スター、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ジャスミン・トリンカ
シノプシス:南仏の豪華な別荘に防犯ベルを設置する仕事をしているジャンは、国際的に有名なピアニストのオーロールに出会う。違う世界に住む2人だが、瞬く間に恋に落ち、共に新しい生活を始めようと決意する。ジャンはパートナーのドロレスと別れようとするが…
*日本では映画祭などで『キッスをよろしく』『チェンジ・オブ・アドレス』などが上映されているエマニュエル・ムレ監督はコメディを得意としていますが、今作ではシリアスな恋愛物語に挑戦しています。フランス公開は2014年1月15日。
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Concorso Cineasti del presente部門

"Le Sens de l’humour"(2013年/フランス/88分)
監督:マリリン・カント
出演:アントワーヌ・シャペイ、マリリン・カント、ルイ・シェペイ
シノプシス:冬。夫が亡くなった後、エリーズは10才の息子レオと2人で暮らしている。エリーズには夫の生前からつきあっていたポールがいるが、2人の関係は複雑なものになっている。しかしポールとレオが少しずつお互いを理解し合うようになる。エリーズはポールの子供を妊娠している事に気付くが、中絶をする決意をする。
*女優のマリリン・カントが4本の短編を監督した後、長編デビューした作品。主役を演じる2人は実生活でもパートナーです。
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”The Ugly One”(2013年/フランス/101分)
監督:エリック・ボードレール
出演:Juliette Navis、Saleh Mohamed Daoud、Hassan Mrad
シノプシス:ベイルートの浜辺で出会ったリリとミシェル。テロリスト行為、爆発、エレナという子供の死…これらの思い出に苛まれる2人。そこに27年間、パレスチナで闘い続けて来た日本赤軍の元メンバーの思い出が重なりあう。
エリック・ボードレール監督はドキュメンタリー『重信房子、メイと足立正生のアナバシス そしてイメージのない27年間』を2012年に発表していますが、今作には足立正生監督が脚本で参加、出演もしています。
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”Mouton”(2013年/フランス/100分)
監督:Gilles Deroo、Marie Pistone
出演:David Merabet、Michael Mormentyn、Cindy Dumont
シノプシス:海辺のレストランで働きながらシンプルな人生を送っていたムートン(羊)という名の青年が、ダンスパーティの夜に悲劇を迎えることになる。
*フランス北部のノール県を拠点とする監督2人組による初長編作品。彼らが出会ったアソシエーションのあるルーベという街は、アルノー・デプレシャン監督の出身地でもあります。製作費を集めるのに苦労をされたそうですが、国立映画・映像センターやル・フレノア国立現代芸術スタジオらの支援を受けて、製作が実現しました。
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Fuori concorso部門

"Que d’amour"(2013年/フランス/88分)
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:Gérard Giroudon、Alexandre Pavloff、Léonie Simaga、Noam Morgensztern
シノプシス:ドラントとの結婚が決まったシルヴィアは、父親の許しを得て、召使いのふりをして未来の夫に近づく。しかしドラントも下男になりすましていた…
*今年のロカルノ映画祭で審査委員も務めた女優で映画監督のヴァレリー・ドンゼッリが、コメディ・フランセーズの以来で監督したTVドラマ。原案はマリヴォーの戯曲『愛と偶然の戯れ』です。
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by berceau-du-cinema | 2013-08-07 07:19 | CINEMA/FESTIVAL | Comments(0)
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