近年、シネマ・エッセイを発表し続けているアラン・カヴァリエ監督の新作”Etre vivant et le savoir”は、2017年に亡くなったエマニュエル・ベルンアイムへのオマージュです。
作家として活躍していたベルンアイム氏は、1988年のジャン=ピエール・リモザン監督の”L’Autre Nuit”から映画の脚本執筆にも関わっていきます。フランソワ・オゾン監督の『まぼろし』(2000年)、『スイミング・プール』(2003年)、『ふたりの5つの分かれ路』(2004年)に参加。そして自身の小説の映画化となるクレール・ドゥニ監督の”Vendredi soir”にも脚本を共同執筆しています。また彼女はカイエ・ドゥ・シネマで批評を書き、シネマテーク・フランセーズの元館長を勤めた後、現在はユニ・フランスのトップを務めるセルジュ・トゥビアナ氏のパートナーでもありました。
エマニュエル・ベルンアイム氏と30年にわたる友情を築いてきたアラン・カヴァリエ監督は、彼女の父親のことを語った自伝”Tout s’est bien passé”を映画化する準備を進めていたそうです。ベルンアイム氏が本人役、カヴァリエ監督が父親役を演じる予定でしたが、ある日、彼女から「緊急手術を受けることになったから、撮影を伸ばして欲しい」と電話が入り…
自身が日常的に撮影しているビデオ映像を元に作品を作り上げたアラン・カヴァリエ監督は、「エマニュエルと僕が準備してきた鮮烈な物語をやり遂げたいと願いました。私たちの喜びと苦しみがダイレクトに録画されていることが重要な存在となっています」と語っています。