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『夜の果ての旅』セプテンバー11版?

1932年に発表されたセリーヌの『夜の果ての旅』は映像化が最も難しい作品の一つと言われています。俳優のファブリス・ルキーニは舞台での朗読を繰り返し上演するなど熱狂的な支持者が多いのですが、この作品を映画化したいと言い出したフランスの監督がいます。
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その人とは、数学の教師が様々な映画の中に入り込んでしまうコメディ”Cinéman”が公開されたヤン・モワクス監督(『スターは俺だ!』)。しかもモワクス監督は映画の舞台をセプテンバー11に置き換え、主人公のバルダムをワールド・トレード・センターで働くあるNGOの職員としています。監督は「セリーヌの作品の権利は全ての著作にアクセスできるようになっている。『城から城』(1954年発表)の中にもセプテンバー11で起こったことに使えるいくつかの文章がある」とアイデアいっぱいのようです。

かなり奇抜なコメディ作品で知られるモワクス監督。しかし好きな監督はロベルト・ロッセリーニだそうです。この映画化が実現されるとしたら一体どんなスタイルになるのか全く想像がつかないのですが、セリーヌの信奉者がどのようなリアクションを見せるのかも話題になりそうです。
by berceau-du-cinema | 2009-10-30 19:55 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

元連続強盗犯が監督デビューを目指して奮闘中!

17歳から銀行強盗を繰り返し、21年を暮らした刑務所内で短編集を執筆して作家に転身、出所後に2本の小説も発表しているフランク・ヘンリーが、現在初監督作品の資金集めに奔走しています。

フランク・ヘンリーは2002年に製作されたセドリック・クラピッシュ監督の『スナッチ アウェイ』にアドバイザーとして参加。その翌年、ヘンリーが裁判にかけられた際にクラピッシュ監督は『彼は執筆と物語を語る本物の才能を持っている。この才能を映画に使うことができるだろう』と証言したというエピソードがあります。この裁判で終身刑を免れて8年の服役を言い渡されたヘンリーは、2年後の2004年夏に出所。ロマン・ポランスキー監督の『フランティック』やジャン=ジャック・ベネックス監督の『青い夢の女』に出演していた俳優のイヴ・レニエと知り合ったことをきっかけに、TVドラマ”Commissaire Moulin”の脚本を執筆。そして元刑事から監督になったオリヴィエ・マーシャルと出会います。元強盗犯と元刑事という以前は敵対する立場にいた二人は、8話完結のTVドラマ”Braquo”でコラボレーション。ジャン=ユーグ・アングラードやニコラ・デュヴォシェルの出演しているこのドラマは10月12日に第1話がオンエア。ペイチャンネルにも関わらず20.9 %の視聴率を稼いで話題になり、既に続編の企画が進行しています。
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2007年からマーシャル監督作品のプロデューサーであったフランク・ショロと親交を深めたヘンリーは、まず自身の小説”Mauvaises nouvelles du milieu”の映画化を考えますが、その後、犯罪対策班のトップである女性刑事の息子が非行に走って行く姿を追ったオリジナル脚本”De force”を執筆。監督にはアラン・コルノーやイヴァン・アタルの名前が候補にあがりましたが、最終的には自分でメガホンを取ることを決意。オリヴィエ・マーシャル、サイモン・アブカリアン(『007 カジノロワイヤル』)が出演を承諾しました。そして主役には…イザベル・アジャーニの名が!

製作費750万ユーロのこの作品は既に大手製作会社ゴーモンと有料TV局カナル・プリュスからの製作資金の一部を得ていますが、現在は民放テレビ局と公的な資金援助機関の返事待ち。コルシカ島での数シーンをカットし撮影のほとんどをパリ近郊で行えるようにするなど、製作費をできるだけ抑える努力をしているそうです。さて、この企画、実現するでしょうか!
by berceau-du-cinema | 2009-10-29 18:47 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

ピナ・バウシュ&マース・カニンガム in VIDEODANSE

10月21日から11月23日まで、パリのポンピドー・センターで開催されているイベント”VIDEODANSE”。1982年にスタートしたこのダンス映像祭ですが、今年のテーマは”Quand le réel entre dans la danse(現実がダンスの中に入り込む時)”。入場料は無料で、200本の長短編、100人のコレグラファーの作品を鑑賞する事ができます。
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しかし今年最大の目玉は、6月に逝去したピナ・バウシュとその後を追うようにして7月に亡くなったマース・カニンガムという2大コンテンポラリー・ダンスの巨匠の追悼上映でしょう。長年に渡って彼らの舞台の映像は製作されるごとにこのイベントで紹介されてきましたが、今年はそれらをまとめて一挙に上映。ピナ・バウシュは10月31日土曜日15時から6本と11月1日日曜日15時より6本、マース・カニンガムは11月23日土曜日15時から8本と11月24日日曜日15時から12本が連続上映されます。これらの作品の中には本人が監督したものも含まれています。

こちらは10月21日水曜日の行われたオープニング・イベントから。フランスの振付師クリスチャン・リゾーをフューチャー。彼のインタビュー映像と共に、舞台”Mon amour”の稽古風景を映し撮り、今年のロカルノ映画祭で公式上映されたアーノルド・パスキエ監督の”Notre amour”が上映。その後、場所を移して、2005年に発表された”Comme crâne comme culte”が特別上演されました。
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by berceau-du-cinema | 2009-10-28 18:32 | DANCE | Comments(0)

モーツァルトの姉ナンネルの人生も映画化!

ミロス・フォアマン監督の『アマデウス』などモーツァルトの人生を描いた映画は多いのですが、その姉のマリア・アンナ(通称ナンネル)・モーツァルトに焦点を当てた作品”Nannerl Mozart”が現在製作中です。
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彼女の人生を自由に翻案したというこの作品。モーツァルトと同様に早熟な天才であった彼女は、最初はその音楽的才能に驚いた父親から注意深い配慮を得ますが、やがて同じような才能を持つ弟にその場所を奪われ始めます。15歳になった彼女は父親と対立、ヴァイオリンを演奏し作曲をすることを禁じられてしまいます。しかし彼女はルイ15世の息子たちとフォントブロー修道院で出会い、皇太子を恋に落ち、その恋愛から音楽の才能を更に磨いて行く、という物語です。

監督は『夕映えの道』のレネ・フェレ。彼は「ナンネル・モーツァルトはカミーユ・クローデルやアデル・ユーゴーを想起させる。アーティストであったこれらの女性は自身の芸術を実践することを妨げられ、自分自身が存在するために時には狂気に至るまでもがき苦しんでいるのです。」と語り、この作品を「性別のために芸術的創作から遠ざけられてしまった全ての女性たちの名において彼女の価値を認めるための挑戦なのです。」としています。ナンネルを演じる女優さんの名前はマリー・フェレなので、監督の娘さんか家族の方なのでしょうか?父親役には『薬指の標本』『ランジェ公爵夫人』に出演していたマルク・バルベ、そしてモーツァルト役にはこれが映画出演2本目となるダヴィッド・モローがキャスティングされています。
by berceau-du-cinema | 2009-10-27 18:24 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

ルー・ドワイヨンがスキャンダラスなレズビアンに!

1972年にそのスキャンダラスな内容から発行禁止となり、30年後の2002年にようやく陽の目を浴びた話題の小説”Gigola”が映画化、現在、パリとリスボンで撮影が進められています。
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”Gigola”とはジゴロの女性版。1960年代、敬虔なカトリックの家庭に生まれながらも、ティーンエイジャーの時に女性教師と恋に落ち、教師はその後自殺してしまうという過去を持つジョルジュ。タキシードで身を包んでパリの歓楽街ピガールで裕福な女性相手の売春を続けるアルコールにまみれた彼女の転落を描くこの小説は、その激しすぎる性描写が問題となったのです。

映画化に関しては、当初、『ブリキの太鼓』や『スワンの恋』で知られるドイツのフォルカー・シュレンドルフが監督、アーシア・アルジェントが主演で企画が進められていたのですが、最終的に小説の作者であるロール・シャルパンティエ自身がメガホンを握ることになりました。そして主役の白羽があたったのはルー・ドワイヨン。小説の表紙のイラストの女性が既に彼女に似ているような気がします。その他の出演者はアルモドバル作品でおなじみのマリサ・パレデスとロッシ・デ・パルマ、『ベニスに死す』や『バリー・ルンドン』に出演していたマリサ・ベレンソン、フランスからはティエリー・レルミット、そしてスペインの人気男優エドゥアルド・ノリエガと国際的なキャストになりました。

完成した作品は何歳の年齢制限がつくのでしょうか?
by berceau-du-cinema | 2009-10-26 19:07 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

メラニー・ロラン、次回作はユアン・マクレガーと共演!

『約束の旅路』のラデュ・ミヘイレアニュ監督の新作”Le Concert”の公開を控え、そのプロモーションに忙しいメラニー・ロランが、11月からLAでユアン・マクレガーと共演する新作”Beginners”の撮影に入ることが明らかになりました。

マイク・ミルズ監督のこの作品は末期ガンの父親が息子にゲイであることをカミングアウトする物語のようで、父親役は『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐役を演じていたクリストファー・プラマー!詳しい物語のプロットが全く発表されていないため、メラニー・ロランの役についても明らかにされていませんが、タランティーノ作品の主役の一人として注目を浴びた彼女だけにどんな役を演じるのかがとても楽しみです。

また彼女は以前にお伝えしたダニエル・オートゥイユの初監督作品への出演オファーを、初舞台に立つために断ってしまったようです。Pépinière Opéra劇場で演じられるその舞台のタイトルは”Promenade de santé”。ラブコメと心理ドラマを掛け合わせた内容で、共演は『ロング・エンゲージメント』に出演していたジェローム・キルシャー。演出は弱冠29才で既に2回もモリエール賞にノミネートされているニコラ・ベドです。

”Le Concert”の画像から。メラニー・ロランはバイオリン奏者として出演しています。
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by berceau-du-cinema | 2009-10-23 21:11 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

人気女優の監督作品は思春期の少女たちの成長物語

フランス映画祭で上映された『記憶の森』などの監督作品も発表している女優のザブー・ブライトマンが長編4作目にあたる新作”No et moi”の製作準備に入っています。

2007年に発表されたデルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンのベストセラー小説『ノーと私』の映画化となる本作は二人の女の子が主人公。13歳のルーは早熟で高いIQを持ち高校に飛び級をしていますが、年の離れた生徒たちの中で疎外感を感じています。ある日、偶然駅で10代後半のホームレスの少女ノーと出会ったルーは授業の発表のために彼女をインタビューしようとしますが、次第に彼女たちの間に親友と姉妹の混じったような強い関係で結ばれて行く、という成長物語です。

主役の2人は一般公募され、新人が選ばれる模様ですが、ノーの両親には監督自身とお気に入り俳優のベルナール・カンパンが演じます。撮影は2010年1月にスタートの予定で公開もまだまだ先。原作は日本語に翻訳されて日本放送出版協会より出版されているので、完成までに原語もしくは翻訳版を読んで映画化された作品と較べてみるのもよいかも知れませんね。
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by berceau-du-cinema | 2009-10-22 22:40 | CINEMA/PROJET | Comments(0)

芸術の秋、パリの映画イベント

今年の秋に開催されている映画絡みのイベントをまとめて紹介。

まず今年で39回を迎えた秋の芸術祭"Festival d'automne à Paris"がオマージュを捧げるために選んだ映画監督はガイ・マディンとジェームズ・ベニングです。

ガイ・マディンは10月15日からポンピドーセンターで回顧上映がスタート。長編9本と短編19本の他、監督の母親の作った短編とトム・ウェイツがナレーションを担当するドキュメンタリー"Guy Maddin : Waiting for Twilight"も上映されます。オープニングから週末にかけて監督がミューズであるイザベラ・ロッセリーニと共に来場し、舞台挨拶。そして10月19日はオデオン劇場で『脳に烙印を!』の舞台版がイザベラ・ロッセリーニやトム・ウェイツらの出演のもと、特別上演されました。また最新作の”Winnipeg mon amour”はまもなくパリで公開されます。
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ジェームズ・ベニングは実験&アート映画界では有名なアーティストですが、フランスで回顧上映が行われるのはこれが初めて。ジュ・ド・ポーム国立美術館を会場に初期の短編集から代表作の『ランドスケープ・スーサイド』や『カリフォルニア・トリロジー』など1976年以降にスタートした長編18本の他、ベニング監督と同様に工場や工事現場を題材としたフランスやアメリカのアーティストの作品5本も上映されます。また10月24日土曜日にはランド・アーティストのロバート・スミッソンの作品”Spiral Jetty”とベニング監督の”casting a glance”のダブル上映と組み合わせれた監督出席の討論会も。これはなかなか面白そうです。
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またシネマテークでは新作”White Ribbon”で今年のカンヌ映画祭で最高賞のパルム・ドールを獲得したミヒャエル・ハネケ監督の回顧特集がスタートしました。初日の10月19日には”White Ribbon”の先行特別上映2回の他、監督による映画レッスンが開催されましたが、満席の大盛況だったそうです。今回の回顧上映では初期の傑作『セブンス・コンチネント』や『ベニーズ・ビデオ』はもちろん、TV用に製作された8本の作品と脚本参加作品1本も上映されます。

またこのシネマテークとジュ・ド・ポーム美術館がタッグを組んだのがイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニ監督にまつわるイベント”Tutto Fellini!”。まずシネマテークでは10月21日から12月20日までフェリーニ監督の全作品、脚本作品、監督に関するドキュメンタリー作品やリメイク、フェリーニ監督から影響を受けた監督の作品などが上映。また3つの講演会の他、10月21日には『甘い生活の上映』の後、シネマテーク館長のセルジュ・トゥビアナ氏が進行を勤める討論会が開催、アヌーク・エーメやクラウディア・カルディナーレが参加する予定になっています。そしてジュ・ド・ポームでは展覧会"Fellini, la Grand Parade"を1月17日まで開催。「サーカス」「ミュージックホール」などのテーマに合わせ、写真やデッサン、ポスター、雑誌、そしてインタビュー映像などが展示。中には一般初公開のものもあるそうです。そしてこちらでも4つの講演会が予定されています。その他、パリのイタリア文化センターIstituto Italiano di Cultura de Parisでも舞台やコンサートなど様々なイベントが開催、また大型チェーン店fnacのモンパルナス店でも『甘い生活』の写真展が開催されます。
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…と、これらが全て同時期に開催されているわけで、いったいどれに行くべきか選択に悩んでしまいます…


ポンピドー・センター

ジュ・ド・ポーム国立美術館

シネマテーク・フランセーズ

在パリ イタリア文化センター

by berceau-du-cinema | 2009-10-21 18:00 | CINEMA/RETROSPECTIVE | Comments(0)

ヴァネッサ・パラディ&ジョニー・デップ VS ジャン=リュック・ゴダール&パティ・スミス

ヴァネッサ・パラディのベストアルバムが11月23日に発売されますが、それに先駆けて未発表曲"Il y a"のPVが公開されました。監督したのは…ジョニー・デップ!
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ジョニーがヴァネッサの曲のPVを手がけたのは、"L'Incendie""Pourtant""Que Fait La Vie?"に続いてこれが4回目。これまでも実験映画的な手法を使ったりしていましたが、この作品も無声映画とファンタスティック・ムービーを混ぜ合わせたような映像に仕上がっており、ジョニーの映画愛が感じられます。ちなみに”Il y a”はフレンチ・ロックのLouise AttaqueのメンバーであるGaëtan Rousselが作詞作曲を担当しています。

そしてジャン=リュック・ゴダール監督の新作"Socialiste"のティーザー映像です。今年のカンヌ映画祭では世界の配給会社や映画祭関係者などプロフェッショナル向けに作品の映像の一部が上映されたそうですが、これを同じ内容だったのでしょうか?哲学者のアラン・バディウ、エコノミストのベルナール・マリス、政治学者のドミニク・レニエパレスチナの知識人エリアス・サンバーらに混じってパティ・スミスが登場するところにゴダールならではの選択が伺われます。ゴダールは現在79歳、ずっと製作中のままになっているこの作品は一体いつ完成するんでしょうか!
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by berceau-du-cinema | 2009-10-20 20:15 | CINEMA/ETC. | Comments(0)

人種差別反対キャンペーン”Vivre Ensemble”

今なお根強い人種差別に反対する短編作品シリーズ”Vivre Ensemble(直訳:一緒に生きよう)”に10組のアーティストたちが集まりました。
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この短編集は1984年に設立された人種差別反対運動組織S.O.S Racismeのイニシアティヴでスタート。映画会社Les Poissons Volants製作の元、女優でドキュメンタリー映画『彼女の名はサビーヌ』で監督デビューしたサンドリーヌ・ボネール、『約束の旅路』のラデュ・ミヘイレアニュ監督、『デイズ・オブ・グローリー』のラシッド・ブシャール監督、モーリタニア出身のアブデラマン・シサコ監督、女優のアクセル・ラフォンら映画人だけではなく、人気テレビアニメで映画作品が今年のカンヌ映画祭批評家週間に登場した”Les Rascars”、TVなどでも活躍する振り付けしのカメル・ウアリ、そして現代アートのアーティストのオルランも参加。そのスタイルもフィクション、ドキュメンタリー、アニメ、ビデオアートなど多彩になっています。

このプロジェクトにはフランス国営TV、TF1、アルテ、M6の地上波チャンネル全社が参加。また映画館チェーンのEUROPALACES(ゴーモン、パテ)、国立映画センターCNCも協賛。公式サイトはまだ建設中ですが、予告編が見ることができます。
by berceau-du-cinema | 2009-10-19 22:56 | CINEMA/ETC. | Comments(0)